21_21で展示されているクリストとジュンヌ=クロード展と、クリストのレクチャーに行った。とても、よかった。
こうしてブログで感想を書ける展示で、ほんとによかった。(良くないと、ただの愚痴にしかならないし。。。)
作品や活動の内容は、21_21のサイトに書いてあるので、個人的なことだけログしておく。
クリスト&ジャンヌの作品(記録)に初めて出会ったのは、大学3回生の終わり頃。就職活動も終盤を迎えて、進路に悩んでいる時期だったと思う。当時、なにかクリエイティブな仕事をしたいと思っていて、大学の農学部図書館を覗いているときに、造園学関連の一角にカタログがあった。とにかくスケール感にビックリしたと思う。「こんなことだけをやっていて生きていけるのか?」と思ったのを覚えている。それでも結局、その写真(とその他多くのもの)に背中を押されて、卒業式の時の進路調査に「アーティスト」と書いて、就職したのを思い出した。今思えば、恥ずかしいかぎり。。
今回の展示とレクチャーで、とにかくうれしかったのは、生きているクリストを見れた事だ。そして、そのパートナーのジャンヌ=クロードが昨年急死して、彼らの活動が永遠ではないと実感できたことも、残念だが、私にとっては意義があった。
自分の人生に少しでも影響を与えた人たちの人生が、まだそこにあって、でも、もうすぐになくなってしまうだろうと実感するのは、とてもいい。もしできることなら、彼らの作品のオリジナルを現地で体験したい。そして自分も何か作りたい、と無性に活力がわいてきた。
あと、今回の展示は数か月前にジャンヌ=クロードが亡くなったということもあって、とても感傷的な雰囲気があり、それもよかった。展示室で映像上映があって、入室したときにちょうど、クリストとジャンヌが出会った時の恋愛談のようなシーンが再生されていた。どこにでもあるような、くだらないストーリーだった。
でも、彼らのLIFE=WORK=PROJECTの展示を通してそのストーリー見ると、何かしら熱くなるものがあった。愛や恋というのは言葉を費やすと生臭くなるけど、おじいさんとおばあさんの人生とその残渣(作品)を受け取ると、何かモラルというか、道徳というか、何とも言えない、いいものがわき上がった来る。
レクチャーで印象に残っていることは、彼らの作品がすべてコミッションワークでないという事実だ。あれだけお金がかかる巨大な作品を、パトロンにドローイングを販売することだけでまかなっているのは、とにかく凄い。並大抵の信頼関係ではないだろう。あと、金銭が集まったときに、それを実際のプロジェクトに投入できる執念も、並大抵ではない。
質疑で「何故、作品を作るのか?」という意味の問いに、「最終的には、自分が見たいもの、美しいと思うものを作るんだ」と答えていたけれども、それは「自我の檻の中に引き籠る態度」と大きく違うと思う。彼らは、良くも悪くも、資本や政治という問題を解決しながら多くの人と対話し、「自分が見たいもの」の社会での落とし所を見つけだしている。
レクチャーが終わった後、偶然に昔の職場の同僚にであった。当時、彼はどちらかといえば不遇な立場で働いていた。しかし今は、より自分の興味にあった仕事にポストを見つけていて、うれしそうだった。私もちょっとうれしくなった。長くやれば、何か結果がついてくるのか?
頑固そうなおじいさんのクリストは、長ーい時間をかけたプロジェクトで圧倒してくれた。
言葉の安い励ましより、よっぽど血気がわく。
まだまだこれから。何か作戦を練ってやろう。
なかはら