東京小旅行

 関東圏に五日間滞在した.その時に訪れたシンポジウム・展示会の中で面白かった展示物を,イベントごとに紹介する.

・インタラクション2004

 情報処理学会のヒューマンインターフェイス系シンポジウム.国内では WISS と並んで最大級の工学系インターフェイスイベントである.個人的に下記二つの発表が興味深かった.

 「レイアウトによるWEBページ検索」 http://www-ui.is.s.u-tokyo.ac.jp/~gyasu/projects/layoutsearch/overview-j.html

 東大五十嵐研のプロジェクト.インターネット検索のクエリとして,レンダリングされるWEBページのレイアウトを指定できる.画像ファイルや,テーブル,テキスト領域などのフレーム範囲を指定することで検索を実行する.

 「Thermo-Painter:熱画像と熱メタファによるインタラクティブ描画システム」

 タッチパネルのセンサとして,接触や静電気などのセンサではなく,サーモカメラを利用したシステム.高温・低温など,温度について特徴的なものを入力に使用できる.例えば,暖かい湯で描画したり,氷で描画したりといったインタラクションが可能となる.実際デモで見た湯による描画では,水彩画のような微妙なタッチがうまく表現されていた.

・文化庁メディア芸術祭

 国内最大級のメディアアートの展示会.興味を引いたのは下記の展示物であった.

 「CodeProfiles Triptych」

 プログラムのソースコード上に,実行時の処理手順を示すラインを表示したプログラム視覚化作品.アイデアは非常にシンプルだけれども,綺麗にまとまっていた.

 「パノラマボールとゼログラフ」

 視野角の広いカメラの画像を円盤や球体などに貼り付けたオブジェ.いわゆるメディアアート的なテクノロジーをあまり使用していない.けれども,視覚に対する深い理解から生まれたメディア表現のように感じられた.展示法や素材の選び方,被写体など丁寧に仕上げられていた.

・多摩美術大学情報デザイン学部卒業制作展

 横浜赤レンガで行われた多摩美情報デザイン学部情報芸術コースの展覧会.同学部の情報デザインコースの展示はスパイラルで行われたようである.この展覧会では,木村氏の「フッタウェイ1号、2号」という展示が興味深かった.実際に人間が乗ることができる二足歩行ロボットの足を,日曜大工的に製作していた.プロモビデオや製品マニュアルなどが,微妙にふざけていたり,まじめだったりして好感を感じた.重苦しい芸術というよりは,「やってしまった」感があって楽しめた.


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  1. AtsushiNakaharaのアバター

    引越し中のため,しばらく執筆停止しました.