国立メディア芸術総合センター(仮称) 建設中止について

元メディアアート系の展示企画の現場(ICC)にいた人間として、一応、考えておきます。
先ず、漫画やアニメの施設は今のところ不要だと思っています。なぜなら、本来の表現である漫画自体やアニメ自体は、多くの場合ビジネスとして自立しているから、施設がなくても見れます。アートフィルムとしてのアニメは、図書館やメディアテークに収蔵されれば良いと思っています。アニメだけで見るよりも他の美術と同列で見たほうが良いとさえ思います。
で、問題はメディアアート。今まではキヤノンやNTTなどのメセナを原資として日本で保護&展示されて来ましたが、それもITの陳腐化で資金が先細りしているように思います。
一方、公的な現代美術館に作品の受け皿があるかというと、展示&作品収蔵のためのノウハウが特殊すぎて、ほとんどの作品が受け入れられていないように思う。(これは作品が面白くないというそもそもの原因があるかも。あとギャラリーが扱えない。)
エンジニアが存在しない現代美術館に「収蔵」された作品で、もう二度と展示できなくなっている作品が数々あります。(有名なやつもいっぱいあります。。)
個人的に「メディアアート」というあいまいな領域から、以後、面白いものが出てくると思わないけど、過去20年ほどで出現して、涙がでるほど感動させてもらった作品群が二度と見れなくなるのは、悲しい。
そういうものを修理して展示しておける継続的な施設は、実現不可能なのでしょうか。
以前は、漫画やアニメ、ゲームを絡めたメディア芸術祭系のプロデューサー、キュレーターの方々の戦略は、ダサいけど上手いなと思っていました。
しかし、今回は「アニメの殿堂」「国営漫画喫茶」と揶揄されて、裏目に出てしまいましたね。残念なことです。
中原


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