読書メモ 戦後日本の食料・農業・農村 第12巻『農業農村基盤整備史』

堀口健治・竹谷裕之、 2012、 第12巻 農業農村基盤整備史 農林統計協会

1章 土地改良についての章 他の公共事業と違って、受益者負担原則がある。受益者負担の割合については、様々な議論がある。
農水省の予算は、食管制度の赤字補てんから公共事業に移ってきた(1960-1990) 1970年代まで、米価は二重構造だった。70年代以降、減反政策に。食管法(1942-1995)の廃止以降、政府買入の影響が弱くなり、米価は下落傾向に。
そして、米価下落の元で、受益者負担がくる。収入にたいして負債が多い。未納金に苦しんでいる。土地改良負担の軽減する対策が取られてきた。

2章 先進事例紹介。

3章 農業農村基盤整備事業の展開過程 戦後1945年の重要課題は開拓だった。食料危機があった。そして、引き揚げ、復員、軍需産業などの失業者対策。GHQにより開拓が公共事業になる。その後、インフレと、1949ドッジによる超均衡財政対策によって融資が縮小する。1950年に国土総合開発法。特需ブームが起こり政策がかわる。1950年前後のドッジシャープ改革は地方に財政的犠牲を強いた。1961年に農業基本法が成立。
有益費問題。戦後は農地改革後、小作地が減少した。1975の農振法による農用地利用推進事業の発足で、農地移動が増える。有益費問題は、利用権小作の拡大ともに、解決しなければならない問題としてのこる。
条件不利地(中山間地)では、基盤の未整備がある。格差に。
1991年から、農業基盤整備費から、農業農村整備費に変わった。多面的機能が盛り込まれる。ウルグアイ・ラウンドの自由による交渉の影響がある。農業集落排水事業で、水洗化が進む。

4章 アジア・欧米の整備と日本について。

5章 まとめ? 解明された事:戦後の食糧増産時代には、緊急開拓、大規模農業水利開発などが次々に事業化。農業農村整備事業の出発点となる「土地改良法(1949)」が制定される。
高度成長期には、あらたな大規模総合開発が取り組まれる。農工間所得格差是正をめざし、旧農業基本法(1961年)のもと、30a区標準の圃場整備が本格化する。中型機械化体系が確立する。
グローバリゼーションが進み、集落営農・法人化等への施策が本格化する。大区画圃場整備が導入・推進される。過度な効率・利益追求に伴い、環境や食の安全が問題化。農業・農村の多面的機能を見直す動きが広がる。旧基本法に変わり、食料・農業・農村基本法(1999年)が施行される。土地改良法も、環境との調和が原則になる。
基本的水利施設は大半建設整備された。老朽化が問題となる。
土地改良法は、2/3の賛同ですべての該当者に参加を強制する。よって、受益者負担原則であっても、公的負担の妥当性がある。グローバル化によって農業基盤整備をしても収益向上できない農家層が急拡大している。さまざまな負担軽減措置があった。2/3の賛同が得られないケースもあり、土地改良のブレーキにも。
中山間地の基盤整備は立ち遅れている。コスト高騰は避けられない。傾斜地の基盤整備には多様なメニューが用意されたが、高齢化などにより進展は遅い。農業活動の多様化と「多角的就業」を可能とする総合的発展施策が必要。
日本の基盤整備事業費の「高コスト問題」も検討する必要がある。
農業農村基本基盤整備は峠を越した。国民のニーズは、環境や安全安心、地方の疲弊にシフトしてきた。「建設の時代」から「更新と管理の時代」に課題を移している。


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